第35章 禍ツ神の正体
話し合いの末、広間の前の庭に運ぶ事に落ち着く。
レンは捕獲した時間遡行軍の氷を滑らかな球体にすると、玉転がしの様に転がしていく。時間遡行軍がぐるぐると横向きで回りながら、もがき噛みつこうとする姿は何ともシュールだ。
「行きますよ。運ぶの手伝ってください。」
レンは呆然とする彼等を尻目にさっさと転がしていく。
「あの子には怖いものが無いのか…?」
鶴丸の呟きに加州が共感を示す。
男より男勝りなのは。女として如何なものか。
「怖いものは…あるにはあるが…。」
薬研の呟きに加州と鶴丸が興味を示す。
「え?あるの?」
「何だ?怖いものって。」
加州と鶴丸は興味津々で、薬研に詰め寄る。
彼は2人を見てから、レンを見て、そして小さく笑った。
「一緒にいれば嫌でもその内わかるさ。さて、運ぶか。」
意味深なその答えに、2人は不満そうに薬研を見る。
「なにそれ。」
「絶対、キミより仲良くなってやるからな!」
捨て台詞の様な事を言いながら、2人は残りの時間遡行軍を転がし始める。
不気味でシュールだが、レンが動じて無いのに自分達が動じる訳にはいかない。
彼等はなるべく早くなるべく見ない様にして、広場まで運んで行った。