第35章 禍ツ神の正体
暫くして、鶴丸は腕の中のレンの様子が変わった事に気付く。
「どうした?レン。」
「…何か来る。」
レンは鶴丸の腕から素早く抜け出し、表に出る。
そのまま屋根に上がると、その”何か”を探す。
大広間裏手に異形が見えた。
「レン!」
「異形のモノが見えました。私が見てきます。」
「え!?ちょっと、待て!レン!」
レンは鶴丸の呼びかけに答えることなく屋根の上を走っていってしまう。
「だあぁぁ!なんで審神者自ら突っ込んでくんだ!あいつは!」
鶴丸は頭を掻きむしり、レンが消えた方向へ駆け出した。
「また行っちゃったの!?あの子は!」
鶴丸を追いかける様に燭台切が続く。
「また行っちゃったのか。」
「やれやれ。」
加州と大和守がボヤきながら続き、他の者も燭台切を追いかける。
鶴丸がレンに追いつくと、既に戦闘が始まっている。時間遡行軍は3体おり、内1体は短刀、2体は脇差だった。
レンは短刀を既に戦闘不能にし、脇差と交戦中だ。
鶴丸は刀を抜き、脇差1体を抑える。
「ありがとうございます。」
「ありがとうじゃない!勝手に行くな!」
「すみません。見失わない内にと思って。」
「レンちゃん!君って子は!!」
燭台切はレンに怒鳴るが、彼女は丁度いいとばかりに頼み事をしだす。
「あ、すみません。そこの蛇の骨、捕獲できますか?」
「え゛!?時間遡行軍を捕らえるつもり!?」
それも無茶苦茶な頼み事だった。
「ちょっと、確かめたいことがあって。」