第35章 禍ツ神の正体
「あと1点疑問に思うことがあるのですが。」
レンの質問に彼等は身を乗り出す。
「刀剣男士の役割は、なんとかっていう敵を倒す事にあると聞きました。」
「そうだな。時間遡行軍と戦い歴史を守ることが俺達の役割だ。」
レンの問いに薬研が答える。
「刀剣は、ここに居るのが全てですか?他にも存在するのですか?」
「この本丸に居るのは、これで全員だね。他の本丸に行けば、違う僕達が居るだろうけど。」
今度は燭台切が答える。
「違う僕達?…ここに燭台切がいるってことは、別の本丸に行けば燭台切以外の誰かが居るって意味ですよね?」
「いいや、違う。光坊がここに居ても別の本丸には別の光坊が顕現する。」
レンは驚いて鶴丸を見上げた。
「じゃ、あなたも、別の本丸に行けば別の鶴丸さんがいるかもしれないってことですか?」
「そうだ。」
レンは考え込んだ。
「気になることでもあるの?」
大和守がレンに問いかける。
「…時間遡行軍と闘えるのは刀剣だけ、ですか?」
「そうだね。時間遡行軍を追って時を渡れるのは僕達だけって聞いたことあるよ。」
レンの問いに大和守が答える。
「…疑問だったんですよ。貴重な戦力であるあなた方を回収することなく切り捨てたのが。やっぱり他に当てがあったんですね。」
「切り捨てた…?」
大倶利伽羅が怪訝な顔で問いかける。
「奴と対峙した時に聞いたんです。ここには大軍を連れてきてはいない。作ったのだと。実際、刀剣を禍ツ神に変えているところも見ました。あの大軍はこの場で生み出したんだと思います。」
その言葉に彼等は凍りつく。
「ま、待って…。生み出したって…、どうやって…?」
乱が絶望を滲ませた様子で尋ねる。
「…手負いの男の子を奴の刀で刺したら、刀を咥えた骨の蛇に変貌しました。」
その説明を聞いた彼等は、一様に目を瞠る。
「それ…時間遡行軍だよ…。」
厚がぽつりと答える。