第35章 禍ツ神の正体
「で、今何の話をしてるんですか?」
「こんのすけの目的って何だろう、って話。レンは思い当たる?」
加州はレンに尋ねる。
「目的、ですか…。」
レンはこんのすけと最初に会った日のことを思い出す。
「私は、ここにいるだけで邪気を浄化出来るのだと、言われた気がするんですが。」
「そういえば、そんなこと言ってたな。」
言いながら、鶴丸はレンの後ろに回り込み、彼女を包む様に抱え込む。彼は甚くご満悦である。
対して、レンは避けるだけの気力が無く、仏頂面でされるがままだ。
この対比が凄まじいことこの上ない。
「すっごく、後ろが気になるんだけど…。」
加州はレンの後ろを指さす。
鶴丸は彼女の頭にすりすりと頬ずりしているところだ。
「気にしたら負けです…。」
レンはぐったりとした様子でぽつりと呟いた。
色々言いたいことはあるが、取り敢えず置いておこうと、加州は気を取り直す。
「確かに、ただ居るだけっていうか、そこに寝てるだけで邪気が消えていったよね。介抱している俺達まで邪気が浄化されたし。」
彼はレンが来たばかりの頃を思い出す。
「そうなると、こんのすけの目的は本丸の邪気を取り除く事にあった、ってことですかね。」
レンが推察する。
「邪気を、ねぇ。何の為に浄化したかったんだか。」
後ろから鶴丸が呟いた。
「でも、こんのすけもだいぶ危ない橋を渡りましたよね。」
「危ない橋?」
「黙って私を招き入れたのは、かなり政府の怒りを買ったと見えます。焼き討ちまでする奴等が、果たしてこんのすけを許すでしょうか?」
その言葉に彼等の表情は強張る。
「キミは…こんのすけが殺されるかもしれないと思っているのか?」
鶴丸が怖々聞くと、レンは頷いた。
「こんのすけは態と連絡を取らないのではなく、連絡出来ない状態に置かれている、と私は予想します。或いはもう…。」
「…そこまでするのか、政府は…。」
鶴丸の呟きには、静かだが怒りが入り混じる。