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君に届くまで

第34章 和解



「大将!見つかったのか!」

「主様!よかったです!」

薬研、五虎退が部屋に戻って来る。次いで、乱と厚も入って来た。
しかし、レンは何の反応を示さない。

「…どうしたんだ?」

厚が不思議そうに尋ねる。

「おーい、レン?」

乱がレンを突っつくも、死んだような目をして遠くを見るばかりだ。

「さっき、燭台切がレンの昔の話してたでしょ?それ、レンは話した事覚えてないらしくて。」

加州がレンの代わりに説明する。

「特に夢の話は、誰にも知られたくなかったみたいなんだ。」

大和守も加州の言葉に付け加える。

「レン、元気だしなって。」

太鼓鐘がレンを揺するも、呆けたままだ。

「お待たせ。おやつにしよう。」

燭台切はそう言ってレンの前に差し出す。

こんがり黄金色に焼いたパンに、とろりとしたチーズが乗せてあり、今にもこぼれ落ちそうだ。

「熱いよ。枝を持って食べてね。」

レンは言う通りに枝を持ち、パンに齧り付く。

「おいしい…。」

パンのさくりとした気持ちのいい歯応えと、香ばしく甘い味が広がり、チーズの旨味と香ばしさも相まって絶妙な美味しさだ。
もぐもぐとレンは無心で食べ進める。

「もう、お酒は飲まない。」

ぽつりと呟いて完食した。

「おかわりありますか?」

燭台切はくすりと笑い、頷く。
漸くレンの調子が戻ってきた。
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