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君に届くまで

第34章 和解



「…真剣な所、本当に悪いんだけど…。
なんか、今の。プロポーズみたいだよね。」

「俺も思った。この態勢といい、セリフといい、まんまプロポーズでしょ。」

「「え?」」

燭台切とレンは加州と大和守を見てから、互いの顔を見合わせた。
次いで燭台切の顔がみるみる真っ赤に染まる。
ぱっと手を離すと、片手で顔を半分覆い隠し、俯いた。

「プロポーズだったんですか、今の。」

レンは燭台切に大真面目に返した。
その返しに彼等は、唖然とする。

「いや、あの…。」

先程の饒舌はどこへやら。
燭台切は顔を真っ赤にしたまま返答に詰まる。

「え、レンって鈍いの?」

「今の聞いて、何にも思わなかったの?」

大和守と加州は呆れ返る。

「いや、思わなかった訳じゃないけど…。」

「じゃ、キュンキュンした!?」

大和守が嬉しそうに聞き返す。

「え、何それ?」

だが、レンは全く理解できていない。

「だから、恋心擽られた!とかないの?」

加州が呆れ顔で返すが、レンはひたすら首を捻る。

「…恋心?」

その様子を見て、加州と大和守は互いの顔を見合わせる。
そして、レンをまじまじと見た。
どう見ても15歳は越えていそうな年齢に見える。

レンは、じろじろと顔を近づけて見る2人から仰反る。

「もしかして、恋したことないの?」

「ないですが…。」

「レンって何歳?」

なんだかデジャブを感じる。

「…二十歳前後ですが…。」

「「見えなーい!」」

「大きなお世話だよ!!」

加州と大和守の言葉に思わず言い返す。

恋を知らない子でよかったと、燭台切は胸を撫で下ろす。
その胸中は、安心したような、けれどちょっと寂しいような複雑な気分だった。
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