第34章 和解
「さっきは本当にごめん。僕が間違えた。君は怒っていいんだ。君らしくない日があったっていいんだ。」
「それは、もう…」
「仲間だから、ぶつかり合う事だってある。
それでいいんだ。ぶつかって、相手を知っていく。仲間になっていくんだと思うから。」
「仲間って…。」
レンは困惑気味に、言われたことを繰り返す。
「仲間だよ。少なくても僕はそう思ってる。」
「俺も。」
「僕もだよ。」
加州と大和守も賛同する。
「でも、仲間の絆はすぐに切れてしまう。
だから僕は、もっと強い確かな絆が欲しい。」
「…それが、家族になろう、なんですか?」
レンは困った様に燭台切を見上げると彼はにっこりと微笑んだ。
「家族になれば簡単には離れ離れにはならないでしょ。」
「いや、家族はもったこと…」
「家族はいつも一緒にいるものなんだ。
…レンちゃん、出て行こうとしてたでしょ。」
燭台切はレンの言葉を遮り、寂しそうに見つめる。
レンはバツが悪そうに俯いた。
「僕は君に、ここに居てもらいたい。人間がいないと成り立たない本丸なら、自分の主は自分で選びたい。君と家族になりたい。
ねぇ、レンちゃん。僕に確かな絆をちょうだい。」
レンは燭台切を見上げた。
その瞳は真剣で、逸らすことが出来ない。
手も簡単には振り解けないくらいに強く握られている。
ー本気、なんだ。
レンは揺れてしまう。
帰らなければならないのに、決心が鈍ってしまう。
いつの間に、こんなに彼等を想うようになったんだろう。
引き留められて、望まれて、嬉しいと思ってしまうなんて。
頭ではダメだとわかっているのに、心はここに居たいと駄々をこねる。
レンは”はい”とも”いいえ”とも言えず、口を開いては閉じるを繰り返す。