第34章 和解
どうしようか、この状況を…、と頭を抱えていると、燭台切が目の前に座った。
レンの両手を取り、しっかりと目線を合わせる。その瞳は真剣で力強い。
「さっきは、ごめんね。君を傷つけた。」
「何の事です?急に…。」
レンは本気でわからず、尋ねる。
「”君らしくない”って言ったことだよ。」
あぁ、それか。とレンは納得する。
「それでしたら、燭台切は悪くありませんよ。私はそのお蔭で自分の現状を正しく把握することが出来たんですから。寧ろお礼を言わなければいけません。」
そう言ってこちらを見る瞳は、寂しそうだ。
「私は、こちらに迷い込んだだけの人間です。その私を介抱してくださり、親切にしていただいて、ありがとうございました。」
まるで、最後の挨拶の様なその言葉に、燭台切の胸にどっと後悔が押し寄せる。
本当に言葉を間違えたんだと悟る。
「だから、レンは主なの。出て行く必要ないの!」
加州が横から口を挟む。
「そう言われても…。」
レンは困り果てて燭台切を見る。
燭台切は目を閉じて、大きく息を吸って吐き出すと、レンをもう一度正視した。
「レンちゃん。僕達の家族になって。」
「はい?」
レンは燭台切の突拍子もない言葉に、思わず聞き返した。
「いいねぇ、そうしよう!家族になろう!」
「家族になるなら審神者にならなくてもいいよ!」
大和守と加州は名案だとばかりに、いい笑顔でレンに詰め寄った。
「なんでもいいんかい。」
レンは、思わず取り繕うのも忘れて突っ込んだ。
「うん、いや、ちょっと待って。家族になろうって何?」
燭台切はレンの珍しい慌て様に、思わず笑ってしまう。