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君に届くまで

第34章 和解


レンは1人とぼとぼと歩いて行く。焼け野原の中、少しずつ覚えていった本丸の配置を思い出しながら。

ー似た建物が多くて、覚えるのに苦労した。

ーここの渡り廊下は割と綺麗だったな。

ーここは建物が入り組んでてよく迷子になったっけ。

そしてその先は…正門だ。

ー矢鱈豪華だったよな、この正門。

レンは焼けて真っ黒になった正門を見上げなら歩く。

ーもう、関わるのはよそう。

らしくない行動になる位、気を許してしまうのはレンにはとても危険な事に感じたのだ。

もうすぐ出口だと思ったところで、がしりと両腕が取られた。

「え?」

突然体が固定されたことに驚いてその原因を見ると、加州と大和守だった。

「どこ行くの?」

「まだ話は途中だよ。」

加州と大和守は少し怒った様にレンに問いかける。

「…あの、よく考えたら私関係ないかなって…。」

レンは引き腰で答える。

「この本丸の主はレンだから。」

「審神者が本丸出ていっちゃダメでしょ。」

対して加州と大和守は強気で言い募る。

「「絶対、離さないから。」」

ハモった。流石兄弟。とレンはどうでもいい事を考える。

「あの、私は審神者ではないです。こんのすけが勝手に…」
「だとしてもレンは審神者なの。レンじゃなきゃ認めない。他の人間なんて要らない。」

加州はレンの言葉を遮りきっぱりと言い切った。

「…言ってることが最初と違いませんか?」

加州の言葉にレンが控えめに尋ねる。

「前は前、今は今。」

「清光が何言ったか知らないけど、僕はレンが審神者じゃなきゃ嫌だから。」

「いや、そんな事言われても…。」

「「さ、帰ろうね。」」

笑ってるけど、目が笑ってない2人に引きずられる様に、レンはまた来た道を戻される。

「えぇぇ…。」

レンの情けない声が風に紛れて消えていった。
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