• テキストサイズ

君に届くまで

第33章 喧嘩


一方のレンは…。



彼等の予想は概ね合っていた。

何故、鶴丸の言葉にこれ程までに怒りが湧き起こったのか、唐突に気づいたのだ。

今まで、幾度となく似た様なことは旅先で言われ続けてきた。

『いいわねぇ、旅人って気楽そうで。私も旅したいわ。』

『いいなぁ。俺も何も気にすることなく、暢気に旅したいもんだぜ。』

『俺も自由気儘に国中旅して歩きたいわ。』



鶴丸に言われた事と、ほぼ同じだ。悪意があるかどうかは別として。
けれど、悔しいだの、腹立たしいだの、思った事は一度だってなかった。

なのに何故、鶴丸の言葉にはこれ程まで腹立たしいと思ったのか。
簡単な事だ。彼等に気を許していたから。自身の存在を認めてほしいと思っていたからだ。
だから”らしくない”行動になった。

ー何をやっているんだ、私は…。

帰ることなど、すっかり忘れていた。

木の葉の役に立つ。その志は今も生き続けている。
須く命を使い切る。自身の誓いも忘れてはいない。

ーそう、私は木の葉に帰る。

ー本来、関係ない人達なんだ。
 私が関わるべきじゃない。
 怒るのはお門違いというものだ。

「はは…。本当に何やってるんだろ、私…。」

レンは空を見上げながら乾いた笑いを零した。

/ 1263ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp