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君に届くまで

第4章 自己紹介



レンの予想は当たっていた。
ここは日本という名前の国だという。


「驚いたな。忍者をこの目で見ることになるなんてな。あぁ、俺は鶴丸国永という。」

「僕は燭台切光忠だよ。鶴さんと同じ主に仕えていたことがあるんだ。」

「俺は加州清光。さっきはどーも。」

「僕は堀川国広です。」

「…大倶利伽羅だ。」

「…本当に、あなた方は人間ではないんですか?」

そう。彼らは刀の付喪神で、人間ではないんだそうだ。
どこから見ても人間にしか見えない。

今度はレンの開いた口が塞がらない。
これは予想の斜め上だった。

「それで、何でこんな大怪我してたの?」

加州の問いにレンは掻い摘んで事情を説明する。

追われて、怪我をした事。
時空間忍術を使った事。
気がついたら近くの森の中だった事。
人を探しているうちにこの屋敷を見つけた事。

「成程な。それであんな状態になったのか。」

鶴丸が相槌を打ち、納得する。

「はい、手当して頂き、ありがとうございました。私の名前はレンといいます。」

彼女は改めて自己紹介をした。


「皆さま、こちらにいらしていたんですね。」

どこからか、急に声が聞こえた。
知らない声だ。
レンは薄ら警戒する。

「こんのすけ?」

彼らはそう呟くと声の主を探す。

「わたくしはこちらにございます。
本日は皆さまにお話があり、お伺い致しました。」

皆は自身の後ろの地面に目をやり、レンは彼らの目線を追う。
そこにはふんわりとした毛を纏った、白い小型犬がいた。

「犬?…忍犬、ですか?」

近くにいた堀川に尋ねると、苦笑しながら違うと答えた。

「彼は、こんのすけと言います。犬ではなくて狐ですね。」

「わたくし、犬に間違えられたのは初めてにございます…。」

狐がしょんぼりとしながら言う。

「更に言いますと、わたくしは狐は狐でも管狐にございます。」

「管狐、ですか。では主人がいるのですか?」

その問いに、その場の空気が重くなる。

「…わたくしの主人は、この本丸の審神者であり、時の政府でもあります。」

その答えに更に空気が重くなる。
何故、と疑問を口にするのも憚られる。
レンが不思議に思っていると、こんのすけが重い口を開いた。
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