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君に届くまで

第33章 喧嘩



「この小娘が!!」

「うるさいわ!この弱虫丸が!!」

レンの頭突きから立ち直った鶴丸は、レンとそのまま取っ組み合いの喧嘩を始めてしまった。

そこからが大変だった。
この2人、周りの言葉に耳を貸さないのだ。
殴るわ、蹴るわ、突き飛ばすわ、投げ飛ばすわで、全く収拾がつかない。

「もう、レン!止めときなよ!」

「そうだよ!レンは女の子なんだからちょっとは自重しようよ。」

「喧しい!下がってろ!」

「鶴丸!もう止めろって!」

「鶴の旦那!ここいらが潮時だ!」

「うるさい!このまま引き下がれるものか!」

「あ、主様!もうやめましょう?」

「鶴丸殿!お気を鎮めてくださいませ!」

正にカオスだ。

大倶利伽羅は暫く静観を決め込み、燭台切は混迷を極めるこの状況に匙を投げ、大倶利伽羅に倣った。






「…そろそろ気が済んだだろう。」

大倶利伽羅が動いた。

「そうだね。動きが鈍ってきた。」

燭台切も立ち上がる。
彼等は台風の眼にゆっくりと近づくと、2人の背後に回り、羽交い締めにする。

急に動けなくなった2人は驚き、首を背後に向けた。

「お前ら、いい加減にしろ。」

「レンちゃんも、少し頭を冷やそうか。」

その言葉に鶴丸とレンは揃って喧嘩相手を睨みつける。

「俺は謝らないからな!」

「はっ!こっちのセリフだ!」

2人は尚もお互いに掴み掛かろうと、もがく。

「いいから、お前らもう黙っとけ。」

「レンちゃんも。あーあー、また傷を増やして。」

大倶利伽羅と燭台切はそのまま広間の端と端にそれぞれ引きずっていった。
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