第33章 喧嘩
鶴丸は徐に立ち上がる。それに合わせてレンも立ち上がった。
「鶴丸止めろ!」
「レンちゃん!!」
大倶利伽羅と燭台切が止めに入るが鶴丸とレンは聞く耳を持たない。
「…いい度胸だ。俺に喧嘩売ろうっていうのか。」
言うが早いか、刀に手を掛けるとレンに向かい走り出し、居合斬りの構えを取る。
しかし次の瞬間には、燭台切の隣に居たはずのレンがもう目の前まで迫っていた。
ー速い!!
鶴丸は刀を振り抜こうと右手に力を入れるが何故か途中で止まってしまう。
「なっ!!」
手元を見るとレンのクナイで刀が受け止められていた。刃を合わせただけでピクリとも動かせない。
彼は驚く暇もなく襟をがっしりと鷲掴みされ、間髪入れずに”ゴン!!”と大きな音が全身に響き渡る。
次いで額に激痛が走った。
襟が離され、彼は堪らず額を押さえてしゃがみ込む。
レンは頭突きをかましたのだ。
太鼓鐘は、痛そう、と呻きながら自分が頭突きされたかの様に額を押さえている。
「人間をナメるなよ。」
レンは、絶対零度の冷たい眼差しを鶴丸に向けた。
いつの間にやら、他の刀剣達は端へ避難している。
燭台切と大倶利伽羅は互いの顔を見合わせて、やれやれとため息を零した。