第33章 喧嘩
「利点など知るか。ぬくぬくと生きてきた人間の考えていることなど知りたくもない。人間はどいつもこいつもクズばっかりだ。
審神者もクズだが、それを容認している政府共もクズだ。ぬくぬくと育っているから痛みを知らない。傷つくことを知らない。
そんな奴をどうして信用出来る?」
この言葉にレンの眼差しが険しくなる。
「鶴丸。言い過ぎだぞ。」
大倶利伽羅が止めに入るが、鶴丸は聞く気がないと言わんばかりに視線を逸らす。
鶴丸の言葉は、レンの中に嫌悪感を生み出した。
ぬくぬくと育っているなら今頃自分はこんな所にいないだろう、と。
リヨクとの事が、抜け忍として逃げ続けた日々が、なんでもないありふれたことだと言われた様な気分だ。
ー胸糞悪い。
「クズ、ねぇ。じゃあんたは何なんだよ。ヒトをクズ呼ばわりする位だ。嘸かしご立派なお方なんだろうな。」
「お前よりはマシだろうさ。」
「そうかな?案外、あんたもクズだったりして。」
「お前にクズ呼ばわりされる筋合いはない!」
「それはこっちのセリフだ。お前に私の何がわかるって言うんだ。」
「お前こそ俺の何を知ってるって言うんだ!」
「知らないね。興味もない。あぁ、もしかして同情でもしてほしいのか?俺はこんなに辛いんだ、わかってくれよ、ってか?だからそんなに突っかかってくるのか。鬱陶しいな、あんた。」
「レンちゃん!言い過ぎだよ!」
今度は燭台切が止めに入るが、やはりレンは聞き入れる気はない。