第32章 本丸跡地で
「…普通はそう思うものなんですか?」
レンは微妙な顔して黙り込んだ彼らを見て、問いかけてみる。
すると彼らは面食らった様に互いの顔を見合わせた。
「普通、か。どうなんだろう。」
「人間を見てると、普通はそんな感じなのかなって思ってたけど。」
「そう言われてみると、普通ってなんなんだろう。」
彼等の人間の基準は先代審神者達である。
加州や燭台切はともかく、大和守に至っては二代目と三代目しか見たことがない。アレが基準か、と問われると心許ない。
ただの刀として人間を見てきたこともあるにはあるが、感覚がまた違うのだ。
彼等は揃って腕を組み、考え込んでしまった。
そんな彼らをレンは呆れて見る。
「普通は、関わりたくないと思いませんか?」
「だからって、めんどくさいはないよ。」
大和守が笑いながらレンに返す。
「あると思います。私の感覚は一般です。」
キリっとした顔に胸を張り、自信満々に答える。
ーでなければ、長年市井に紛れて逃走なんて出来るものか。目立ったら終わりなんだぞ。
「まぁ、そういう事にしておくか。」
大和守が答え、彼等はくすくすと笑う。
「あしらいましたね。後日討論会をしましょう。絶対私は一般なんですから。」
「はいはい。」
レンは納得いかないとばかりに大和守に食って掛かるが、大和守は嬉しそうに去なすだけだった。