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君に届くまで

第4章 自己紹介



加州と女が部屋の真上まで戻ると、下ではちょっとした騒ぎになっていた。
そこには、鶴丸、燭台切、大倶利伽羅、堀川が集まっている。

「加州!大丈夫なのか?」

鶴丸が呼びかける。

「あー、うん。俺は平気。この人も、もう逃げないって。」

「そう。それは良かった…けど、どうやって降りるの?」

燭台切は困った風に笑う。

「ね、どうしよう。」

加州は下を見下ろしながら、その高さにゲンナリする。
一応鉤付きのロープはそのままになっているが、かろうじて瓦に引っかかっているこれを見てしまうと、もう一度使う気にはなれなかった。
行きは良い良い帰りは怖い、というやつだ。

すると、後ろから小さなため息が聞こえた。
と思ったら、加州の横に座り、背を向けた。

「おぶさってください。私が下ろしますから。」

女は至極当然に言う。
加州は一瞬何を言われているかわからなかった。
下を見ると4人も同じ様に唖然としている。

「いや、何言ってるの?それにあんた、怪我人でしょ?」

「怪我人ですけど、人一人下すくらいなんともないですから。ここで立ち往生するのは時間の無駄です。」

「いやいやいや、この高さから怪我人が飛び降りたらもっと怪我するから!」

加州は頭痛がしてきた。

それを聞いて女は何か考えた様子を見せ、胸元で指を十字に組むと何事か呟いた。
するとボフンという音と煙と共に女がもう一人現れる。

「え。」

驚く暇もなく、現れた女は事もなげに屋根から飛び降りた。
そして加州を見上げて言った。

「この通り、私は忍ですから。あなた一人くらいどうとでもなります。」

「ですから、おぶさってください。」

すぐ隣の女はそう言った。

その様子を見ていた面々は開いた口が塞がらない。
加州は黙って女の背におぶさり、屋根を下りた。

「それで、私は何から話せばいいでしょう?」

しれっと会話を切り出す彼女に、皆は思う。

まずはいろいろツッコませて!

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