第31章 大和守安定の目覚め
「よぉ、大和守。起きたか。おはようさん。」
僕は驚いて声の方を向いた。
「何で…。」
彼は折れた筈だ。折れていなくても重症で起き上がれない筈。
「治してもらったんだ、大将に。」
そう言って彼は僕の後ろを指さす。
その方向を追って振り向くと、そこには着物一枚の上に、黒髪で、全身黒い服の女の子が寝かされていた。
そう言われると、僕もあの傷がこの程度で済んでいるのはおかしい気がする。
「もしかして、僕も手入れしてもらった?」
清光が涙で濡れた顔のまま、こくりと頷いた。
「そっか。僕も…。」
複雑な思いで僕はその子を見つめた。
「ありがとう、新しい主さん。」
この子は僕達に何を齎すだろう…。