第30章 帰還
東の空が明るい橙に染まる。
もうすぐ日の出だ。
静まり返った森を見渡したレンは、漸く落ち着いた。
チャクラ切れも相まってどっと疲れが押し寄せて来た。この道をまた引き返すのかと思うとげんなりする。いっそここで野宿でもしてから帰りたいくらいだ。
「帰りましょうか…。」
先程とは打って変わって沈んだ声が出た。
「レン、大丈夫…?」
あまりの沈み様に、加州が近づき恐々尋ねる。
「早く帰って寝たいです…。体が鉛の様です…。」
「休んでから帰るか?」
大倶利伽羅がそっと聞くと、レンは首を横に振る。
「残っている人達が心配ですから、帰ります。」
そう言って、とぼとぼ歩き始める。
加州達は互いの顔を困った様に見合わせた後、レンに続いた。