第29章 急襲
「とにかく向こう側の山へ走って!」
レンは高台とは反対方向を示す。
「でも、高台はあっち…」
「仲間の元へあれを引き連れて行く気!?」
加州の反論を許さず、レンは言葉を被せる。
「あいつが出て来たらどうにもできない!
今の技でもうチャクラが残ってないんだ!」
レンは先頭切って走り出し、薬研達はそれに続く。
後方からは、次々と時間遡行軍が出て来ていた。
奴等はレン達の姿を見咎めると、そのまま追うように走り出す。
「奴等を引き付けつつ、逃げるからね!持久戦になるよ!絶対に止まるな!!」
「短刀が追いついて来たよ!」
「攻撃が届くまでは現状維持だ!とにかく、真っ直ぐ!ひたすら、真っ直ぐ走れ!」
レン達は、ひたすら獣道を真っ直ぐ走り抜ける。後ろは振り返っていられなかった。
追いつかれ、囲まれそうになる度、レンは殿を務め、次々に足止めしていく。