第28章 嵐の前の静けさ
翌朝の昼近く、疲れた様子のこんのすけが現れた。
「昨日は大変失礼致しました。」
レンは昨日から不審に思っていた事を聞いてみる。
「何故、私のことを伏せたのですか?私はこの本丸の審神者なのでしょう?」
こんのすけはそれを聞き、益々疲れた様な顔をする。
「大変申し訳ございません。昨日も申しました通り、この本丸は封印されていて稼働していないことになっていました。
正式な審神者就任の儀を済ませないままの就任で御座いました故、あの方々は無人の本丸の様子を見に来ただけなのです。」
「正式じゃないとは言え、次期審神者なら問題無いのでは?」
「…あの方々は、名家の、それも宮司として名のある方々で、新任の方々には手厳しいことで有名なので御座います。
ですから、正式な手順を踏んでからの顔合わせでなければ、あなた様に火の粉がかかると思い、伏せさせていただきました。」
こんのすけの言っていることは尤もだが、何かを隠している様な違和感がある。
「…事情はわかりました。
昨日のことを踏まえた上でお願いがあります。
今後、あなたと連絡を取りたいと思った時に、すぐ取れるようにしたいのですが。」
「それ、は…。」
「私との連絡が難しいのならば、刀剣とは可能ですか?」
「刀剣と、ですか?」
「はい。審神者代理として。」
「…そうですね。審神者代理としてならば方法は御座います。」
「なら今から、燭台切と連絡を取れるようにしてください。」
「…わかりました。」