第27章 視察
影分身を解いたレンは、思わず手で口元を覆った。
只ならぬ様子に、薬研達は一様にレンの様子を伺う。
「レンちゃん、大丈夫?」
燭台切が控えめに尋ねると、レンは体を強張らせたまま、ゆっくり頷いた。
「尾行がバレました。こんな事、初めてです。チャクラ配分を抑えた影の薄い分身だったのに…。」
燭台切がレンの背を摩ると、僅かに震えていた。
「あの人達は、私を探しているのかもしれません。」
「なんでまた…。」
「わかりません。あの人は私の位置を正確に掴み、話しかけてきました。」
何故、どうやって私の位置を把握出来たのか。
レンの中に疑問が渦巻く。
ふとレンは顔を上げ、彼等を振り返った。
「…みなさんは私の居場所や私がいる方角がわかったりしますか?」
この前、五虎退が”冬の朝の様な気だ”と言っていた。あれはどういう事なのだろう。
唐突に彼女の中で疑問が湧く。
「何となくわかる程度だな。」
「こちらから良い気が流れてくるのがわかる、みたいな。そんな感じだと思います。」
薬研と五虎退が答えると、彼等は一様に頷く。
「それは、はっきりとわかるものなんですか?」
レンの問いかけに五虎退は首を振る。
「はっきりとはわかりません。匂いを辿っていくような、そんな感覚ですから。」
その答えを受けて彼女は考え込む。
「一体何なんだ?」
太鼓鐘は怪訝な顔をしてレンに尋ねた。
彼女は不安気な色を瞳に浮かべて顔を上げた。
「…上手く言えませんが…。」
そう言い置いて、先程の尾行の顛末を話す。