第27章 視察
急いで貞ちゃんと鶴さんを起こし、準備をすると、3人で裏門へと急いだ。すると、門の前では既に薬研君、五虎ちゃん、鳴狐君、江雪さん、小夜ちゃんが、レンちゃんの分身と待っていた。
「揃ったな。じゃ、外に出よう。」
薬研君はそう言って閂を外した。
「僕達が裏門から出るってよくわかったね。」
薬研君に話しかけると、彼はにっと笑って言った。
「こっそり出ようと思ったら表門から出ようとは思わないさ。」
「…成程ね。みんな考えることは同じってことか。」
その会話に僕達は一様に笑う。
「…どういうことですか?」
その暗黙の了解にレンちゃんは意味がわからない様だ。
「表門は、審神者や人間が好んで出入りするものなんだ。間も無く来るってことは、鉢合わせるかもしれないと思ってね。」
「…転移装置から来るんじゃないんですか?」
「転移装置から来る場合もあるけど、表門を使うことが殆どなんだ。」
レンちゃんは不思議そうに首を傾げた。
「表門を使うことで威厳を示したいんじゃないか?立派な門だったろ?悪いが大将。その分身で、また鍵をかけ直してくれ。」
薬研君が笑いながら答える。
レンちゃんはそれに応じて分身を残した。
全員が出終わって、内側からカシャンと鍵がかかる音がする。
レンちゃんの先導で裏山に入り、僕達は本丸が見下ろせる高台へと避難してきた。