第27章 視察
「主様!いらっしゃいますか!?」
「何ですか?」
丁度布団を片付けたところにこんのすけが慌てた様子で駆け込んできた。
「よかった!申し訳ありませんが、今から手入れをした方々と本丸の外に出ていて頂きたいのです!訳は後ほどお話しいたしますので!」
「どういうことですか?」
「今は訳を聞かず…」
「訳を聞かないまま動けば、あなたの意にそぐわない動きをするかもしれませんよ。」
レンはこんのすけの言葉を遮り、自分の言葉を重ねる。
それを聞き、こんのすけは言葉に詰まり逡巡した。
「何故、私がいると不都合なんですか?」
レンは尚も、問いを重ねる。
やがて、こんのすけは渋々といった体で訳を話し始めた。
「…今から、政府様が視察にいらっしゃるのです。わたくしではお止めすることは出来ません。…本当はこの本丸は封印され、稼働していないことになっているのです。」
問いの答えを微妙に暈されている。
こんのすけは、何故かはっきりと答えなかった。
「…いつ来るのですか?」
「もう間も無くいらっしゃいます。くれぐれも見つからぬように、お願い致します。」
言うだけ言って、こんのすけはポンと消えてしまった。
レンは不審に思いながらも、影分身を出し、手入れした面々に伝えに行った。
「燭台切、いますか?」
部屋の外から声がかかる。レンちゃんの声だ。
「おはよう。…珍しいね、こんな朝早く。」
「こんのすけから本丸の外に出るよう言われたもので。手入れをした方も一緒に出るように、とのことでした。急いでください。」
「…どういうことだ。」
伽羅ちゃんが横から顔を出した。
「私も詳しくは聞いていません。政府が視察に来るから見つからないようにとしか…。」
それを聞いて僕達は思わず顔を見合わせた。
「なんで、今更…。」
「何を企んでいるんだ、あいつら。」
「…とにかく本丸を出ます。燭台切と太鼓鐘さんはすぐに準備を。間も無く来るそうですから、急いでください。」
レンは淡々と僕達を促した。