第24章 みんなでご飯
「…主様は、辛くはないのですか?」
五虎退は涙ぐみながらレンに尋ねる。
「…いえ、全く。…何で泣くんですか?」
レンは五虎退の様子に驚いて箸を止めた。
「だって…だって…、家族がいないんですよ?会いたくないのですか?」
五虎退は今にも涙が零れ落ちそうだ。
レンは流石に箸を置き、隣に座る彼の背を摩る。
「会いたい、とは思いません。顔も名前も知らないんですから。私には郷愁の情は無いんです。そもそも懐かしむだけの経験がありませんから。」
それを聞いて、五虎退は益々俯いてしまい、レンはどうしたものか、と困ってしまう。
「家族がほしいと思ったこと無いの?」
「無いですね。」
燭台切が再度尋ねるも、レンは淡々と答える。
「じゃあ、恋人は?ほしいと思ったことあるか?」
薬研が口を挟む。
「無いです。」
「…恋をしたことはあるか?」
「ありませんよ。そんなもの。」
「…大将、今幾つだ?」
「…何でですか。」
レンは怪訝そうに薬研を見る。
「そりゃ自分の主の事なら何だって知りたいからさ。」
胡散臭い笑顔で答えた。
「…二十歳前後です。正確な年齢は分かりません。」
「「「うそだ。」」」
彼等は声を揃えて驚く。
「見えない…。」
「も、もっとお若いかと、思っていました。」
「その歳でその情緒は幼く見えますよ。」
「二十歳前後で恋を知らないとは…。」
「…大きなお世話ですよ。」
レンは若干不機嫌になりながらもまた箸を動かし始めた。