第23章 手入れ ーその2ー
レンが小夜と戻ってくると、見たことある顔が縁側に座っていた。
「鶴丸さんと、えーと…。」
名前が思い出せない。
「伽羅ちゃん!鶴さんも!どうしたんだい?」
後ろから燭台切が戻ってきた。
「早かったですね。上手くいかなかったんですか?」
「いや、袋がいっぱいになっちゃって。替えを取りに来たんだ。江雪さんは?」
「こちらは予想以上に深い傷が3ヶ所あって、塞ぐのに手こずっています。玉鋼が尽きたので、一度戻って来たんです。」
「…拒まれたのかい?」
燭台切は少し眉を顰めた。
「いや、埋まっている感覚はあるので大丈夫だと思います。ただ、江雪さんって太刀だったんですね。それで傷も大きく広範囲にあるので、焼け石に水な状態なんです。」
「成程ね、お疲れ様。じゃあそっちの空の麻袋貰っていいかい?」
レンの答えに、彼はほっとする。
「そちらもお疲れ様です。お願いします。予備の袋って無かったですか?」
「たぶん、厨にあると思うから探してくるよ。」
「あ、なら序でにお米出しといてもらえますか?お腹すいちゃって。」
「OK。炊いておくよ。」
「わかりました。お願いします。小夜さん、もう一度戻りましょう。」
小夜はこくりと頷いて、レンと戻って行った。
鶴丸と大倶利伽羅は、レンと燭台切の親しげな会話を驚いた様子で見ていた。
「驚いたな。光坊はいつの間にあの子とそんなに親しくなったんだ?」
「あの子に親しいって感覚があるのかは謎だけどね。いつもご飯作っていただろう?それで自然とね。」
「…あの人間はいつもあんな淡々としているのか?」
「そうだね。でも他意はないよ。それがあの子の普通なんだ。」
大倶利伽羅はレンが戻って行った方を見る。
「相変わらず変わった子だな。」
鶴丸は少し笑いながら燭台切に言う。
「面白い子だよ。」
燭台切はにこやかに言った。