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君に届くまで

第22章 〜〜幕間2〜〜


加州は部屋への帰り道、あの夜を思い出していた。


あの人は、禍ツ神になった小夜を前にしても、怖がることもなく、嫌悪することもなかった。
自分達でさえ、恐ろしく、足がすくんだというのに。

あの人はものともしなかった。
最初から最後まで、小夜を小夜として見ていた。

「俺の方が、小夜を化け物と見ていた…。」

それがすごく嫌だった。
同じ刀剣なのに、仲間として見ていなかった。

「あ〜あぁ…。情けないな、俺って…。」

つらつらと考えながら、部屋の前に辿り着く。

「ただいま…。」

眠っている安定に帰りを告げる。
返事がないと分かっていても、言わずにはいられない。最早、習慣と化してしまった。

「ねぇ、安定。あの人、今度は太鼓鐘を助けるんだって…。俺も、あの人に安定を預けてもいいかな…。」

安定の髪を撫でながら聞いてみる。

「起きてよ…。安定…。」

寂しい…。

また一緒に笑いたい。

くだらないことでケンカして、仲直りしたい。



加州は膝を抱えて蹲った。

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