第84章 新たな拠点、新撰組
「へぇ…。木、だよね。紅葉かな?」
そこには、周りから少し距離を置かれるようにぽつんと佇む背の低い紅葉だった。
冬だというのに、木には紅々とした葉が繁っており、華やかでどこか神々しささえ感じる。
「そうみたいですね。ただの紅葉というには些か綺麗すぎる感じがしますが。」
レンの目には木を包むように光の帯が幾重にも重なって見えていた。言うなれば、それは天女の羽衣の様だ。
「さて、これはどうしたものか…。」
清浄の気は見えているものの、水と違いそれは触れる事が難しい。
試しに紅葉の木に直接触れてはみるものの、湖の時と違い、吸収率は然程良くはない。
急を要する場合、これでは心許ないだろう。
「…もしかして、取り込めない?」
乱は少し顔を曇らせ、心配そうにレンを見ると、彼女はふむ、と考え込んでいた。
彼女のチャクラ系統は氷遁で水遁と風遁を併せ持つ。
木はどうかと言えば。木に近しいのは木遁であり、それは土遁と水遁を併せ持つ。
ここで、水遁が合致しているから良い様にも思えるのだが、氷遁も木遁も二種類の系統を性質変化させて扱っている。よって、氷遁にある水遁と木遁にある水遁は似て非なるものとなる。
レンが清浄の気をあまり取り込めないのはその事にも関係がありそうだ。
では、風遁をうまく利用して漂っている清浄の気を取り込むのはどうか。
結論から言えば、それも微々たる量となるので急な場面では期待は出来ないだろう。
無いよりはマシではあるのだが…
「レン?」
乱の声に、ふと思考の海から意識を戻す。