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君に届くまで

第84章 新たな拠点、新撰組



「あぁ、すみません。考え事をしていたので。結果的に言えば、吸収効率は良くはないです。」

「てことは微々たる量しか取り込めない?」

「そうですね。無いよりはあったほうが良いという程度です。」

「向こうに帰った時は湖だったんだよね?それで、今度は木。もしかしてそのことも関係あったりする?」

「何とも言えませんが、おそらくは水関連でしか期待は出来ないかもしれません。」

比べるための情報が、まだ十分にあるとは言えないが感覚的に言ってしまえば、そういう事になるのだろう、とレンは思っている。

「折角のヒーリングスポットだったのにね。」

乱は少し残念そうに肩を落とした。
レンが本丸から離れていることを思えば、薬研達の時の様に神気を枯渇した状態にはさせたくはない。

「残念ですが、運でもありますから、ね…。」

振り返りながらのレンの言葉が不自然に途切れた。
不思議に思って乱も振り返ると…。

「ひっ…!」

あまりの驚きに、彼は悲鳴と共に一歩後退る。
それに釣られたかの様に、レンも慌ててクナイを一本引き抜いて構えた。

そこには、子供の姿をした童が静かに佇んでいたのだ。
身なりはまるで平安を思わせる赤と白の装束に男の子の髷を結っている。さして印象深くはないが、穏やかな微笑を浮かべており、邪気の類は見られない。
ただ不思議な事に、暗闇の中にあるにも関わらず、その子の姿はまるで淡い光が当たっているかの様にぼんやりと見えている。
浮世離れしているその子は、何も言わずにレン達に背を向けると歩き出した。そして少し進んだ所でこちらを振り返った。
まるでついて来いとでも言うかの様に。
レン達は困惑をありありと浮かべて互いを見やった。
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