第84章 新たな拠点、新撰組
北側に着いた時、二人が二人とも息を切らしていた。
レンは久々の全力疾走により、乱は体力切れになった為だ。
「大分持つ様になりましたね。」
「ま、まぁ、ね…。」
乱が息も切れ切れに答えるのを見て、レンは少し笑う。
彼の大きな進歩が嬉しかった。
成果が目に見えて、死から遠ざかった事が彼女を安堵させる。
レンは休息を取る意味でゆっくりと歩き出す。
北側は寺が多いらしい。
ぽつりぽつりとそれらしき建物が並ぶ。
彼女は意識を集中させながら周りを見渡していく。
「何してるの?」
乱はそんな彼女を不思議そうに見た。
「綺麗な気配を探してるんです。清浄な気はチャクラに変える事が出来るので、いざとなった時はあると便利でしょう?」
レンの答えに、乱は漸く得心がいった。
何故こんな夜更けに出かけようと言い出したのか。
「これが目的だったんだね。」
「半分は、ですが。あとの半分は本気で町を見廻る気でいますので。」
「…止めても行く気だよね?」
「そうですね。監視がない今なら自由に動けるじゃないですか。だったら行かない手はないでしょう?」
「ボクは危ない事に首突っ込んでほしくないんだけど?」
「だから過保護ですって。」
乱ははあぁ、とため息をつくと渋々と承諾する。
「見廻るだけだからね。深追いはしないよ。」
「いいですよ。」
レンが飄々と答えたのを見て、乱はやれやれと首を振った。