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君に届くまで

第21章 手入れ ーその1ー





それから遠征が始まり、2日でかなりの量の玉鋼が貯まる。
遠征の面々が一気に増えたことで、難易度を上げることができ、玉鋼が集めやすくなったのだ。

「かなり貯まりましたね。」

「2日間、ほとんど交代で遠征に出てたからな。」

「いくら難易度が低いとは言え、周回するとキツイものだね。」

薬研が答え、燭台切が疲れた顔をする。

「お疲れ様です。私のチャクラもだいたい戻りましたし、手入れを始めますか。」

レンが切り出すと、彼らは一様に目を輝かせる。

「先ずは、五虎退と燭台切で。」

「はい!」

「僕も?」

五虎退は元気に答え、燭台切は不思議そうに聞き返す。

「あなたの傷は軽いでしょう?なら治すのはそう難しくはないはずです。」

「けど、僕は太刀だよ。」

「太刀?」

「刀の種類だよ。
刀は短刀、脇差、打刀、太刀、大太刀、槍、薙刀、と様々で大きさや形がそれぞれ違うんだ。」

「想像がつきません…。とりあえず、見せてもらえますか?」

「わかった。持ってくるよ。」

燭台切は部屋を出て行った。

「では五虎退を先に手入れしましょう。」

「お願いします。」

五虎退は刀をレンの前に差し出し、鞘から刀身を抜き出した。
細かい傷やひびが全体にある。

レンは五虎退の刀身に手を翳し、治していく。


「これで終わりました。体はどうですか?」

「はい、大丈夫です。痛みはもうありません。」

「よかったな、五虎退。」

五虎退と薬研は嬉しそうだ。




「持ってきたよ。」

丁度、燭台切が戻ってきた。
手元の刀が先程言っていた太刀だろうか。

燭台切はレンの側に座ると、鞘から刀身を抜き出した。
成程。近くで見ると、五虎退より太く、遥かに長い。

「…大きいですね。」

そこに、細かい傷があちらこちらにあるのだ。同じ軽症でもこれは骨が折れる。

「やめとくかい?」

燭台切の言葉に、レンは首を横に振る。

「いいえ、治します。遠征に出てもらうのだから、万全で行ってもらわなければ。効率が悪くなります。」

…そこは嘘でも傷の心配をしてほしいところだが。
レンだからな、と皆は仕方ないといった様に笑った。

レンは早速、燭台切の刀を治し始める。
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