第20章 小夜左文字の頼み
「とりあえず、大将には完全回復してもらわないとな。」
薬研の言葉に皆が賛同する。
「ねぇ、レンちゃん。江雪さんの後でいいから、僕も手入れしてもらえないかな?」
レンは燭台切の言葉に少し驚く。
「…珍しいですね。いいですよ。燭台切の手入れなら残存のチャクラで間に合うと思いますし。」
「いや、手入れしてもらいたいのは僕じゃない。仲間の太鼓鐘貞宗だよ。今、重症で眠っているんだ。」
燭台切の言葉に彼等は一様に目を瞠る。
「仲間、ですか。…私に関わっていいんですか?」
レンは戸惑いながら尋ねる。
仲間に関わるな、と言っていた人がどういう風の吹き回しか。
「…うん。…ごめん、勝手で。君達のやり取りを見ていたら、羨ましくなっちゃって…。ここに貞ちゃんがいたら、鶴さんがいたら、伽羅ちゃんがいたら、って…。」
燭台切りは寂しそうに微笑む。
レンは燭台切を見つめる。彼の寂しそうな顔を初めて見た。
仲間って、いいものなんだろうか。
薬研達をみているといいものだとわかるが、レンにしてみれば、いいものと知識として知っているだけに過ぎない。
寂しいものだろうか、仲間がいるのに共に過ごせないのは。
レンは見てみたいと思った。燭台切が嬉しそうに仲間といるところを。
「いいですよ、手入れします。ご飯のお礼です。」
レンは穏やかに微笑む。
その様子に燭台切は困ったように笑った。
「その代わり、燭台切にも遠征に出てもらいますよ。」
「OK。貞ちゃんの為なら何だってするよ。」
やっぱり人が良い、とレンは思う。
「小夜さんにも遠征に出てもらいます。行けますか?」
「うん。僕も江雪兄様を治す為なら行く。」
小夜が力強く答える。
「取り敢えずは資材に困らなくて済みますね。」
レンは呑気に答えた。
「俺も遠征に出るから、兄弟を手入れしてくれないか?」
「僕も行きます!」
「いいですよ。手が届く範囲は治しますよ。」
レンは快諾した。