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君に届くまで

第20章 小夜左文字の頼み



小夜がゆっくり目を開けると、目の前に燭台切、薬研、五虎退が居て、彼を覗き込んでいる。
びくっと固まったが、徐々に状況を把握して、みるみる恥ずかしくなった。

「ははっ、顔が真っ赤だぞ。」

「気持ち良さそうに寝ていましたね。」

薬研と五虎退は楽しそうに笑った。

「何故、私の布団に寝ていたのですか?」

後ろから不思議そうに尋ねる声がかかる。
小夜は驚いて振り向くと、レンが起きていた。

「あなたに、布団に引っ張り込まれた、から…。」

小夜は少し不安そうに言った。
レンは全く記憶に無いようだ。
小夜は慌てて経緯を説明する。



「それは失礼しました。」

レンは首を捻りつつ、納得はしてくれたようだ。

「成程な、寝ぼけてる時に声をかけると一緒に寝られるのか。俺もやってみるかな。」

「いや、わざとはダメでしょ。」

レンが大真面目に答えると、彼はくつくつと笑う。

「僕も今度一緒に寝たいです、主様!」

「僕も寝ていいかい?」

まさかの燭台切も便乗してきた。

「…一人で寝ましょうか。」

レンは、若干呆れつつ答える。

「ははっ、言うと思った。」

燭台切は楽しそうに笑った。
小夜はその様子をほっとしながら微笑んで見ていた。



「手入れの件ですが、チャクラの戻りが悪いので2日程時間をください。」

「ちゃくら?」

小夜が首を傾げると、燭台切が答える。

「レンちゃんの国では、神気のことをチャクラって呼ぶらしいんだ。」

「この国の人じゃない?」

小夜が首を傾げる。

「私は火の国の出身です。日本国ではありません。」

小夜は驚いて目を瞠る。
火の国なんて聞いたこともない。それにこの国を日本国なんて言う人はいないはずだ。

実はね、と前置いて燭台切はレンがここに来た経緯を簡単に説明する。


「そんなこと…あるんだね…。」

小夜は不思議そうに返す。だが、何となく納得できた。
この国の人間じゃないから。だからこんなに清らかなのだろう、と。

「ところで、江雪さんは?」

燭台切が小夜に尋ねると、彼は沈んだように俯く。

「寝ているよ…。たぶん起きれないんだ…。」

「怪我のせいですか?」

レンが尋ねると、彼はこくりと頷いた。
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