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君に届くまで

第84章 新たな拠点、新撰組




屋敷に入って多くの部屋を通り過ぎ、西側の端と言っても差し障りのない部屋へと通される。

「ここをお前たちに当てがう。好きに使え。レン、お前は俺と一緒に来い。」

「…どこに行くんですか?」

彼らと引き剥がすような命令に、レンは眉を顰める。
それを見た土方の眉根も釣られて寄っていく。

「別に取って食いはしない。話があるだけだ。」

「なら、ここでお願いします。みんなで聞きますから。」

「だから…!あ〜、もういいから黙ってついて来い。ここじゃ障りがあるんだよ。」

短く息をつくと、土方は返事を待たずに部屋から出ていく。
レンがそれを目で追っていると、障子の向こうの少し離れた部屋の角に二人ほど身を潜めているのが目に入る。

―成程…。監視されているのか。

新撰組が一枚岩でないことを瞬間的に悟り、レンは黙って立ち上がる。

「行くのかい?」

燭台切の心配そうな声に、彼女は頷きを返す。

「ここで待っていてください。」

そう残して、土方の後を追った。

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