第84章 新たな拠点、新撰組
「通りで美味しかったわけですね。」
「「やっぱり食べたんじゃん。」」
乱と加州は、ボソリと言ったレンの言葉を綺麗に拾って突っ込んだ。
「すみませんでした。今度奢りますから。」
「約束だからねっ!」
レンが潔く謝罪をすると、乱は頬を膨らませながら怒る素振りを見せた。
そのやり取りを見ていた藤堂は呆れを通り越して感心してしまう。
「よくもまぁ…。しれっと真顔で嘘つけるな、お前。ってことで今日の土方さんへの報告よろしくな。」
「謹んでお断りいたします。」
藤堂の言葉に、間髪置かずにレンはきっぱりと言い切った。
「おまっ…!ひでぇぞ!?」
「タダではねぇ。損な気がしますし?」
そう言ってレンがにっこりと無機質に笑って見せると、藤堂は分かりやすく顔を引き攣らせた。
「…何がいいんだ?」
「昨日の金平糖を要求します。」
「あんな高いもん二つも三つも買えるかっ!松(特上)だぞ!?」
「じゃ、ありのまま報告しますね。」
「鬼かっ!なぁ、頼むよ〜。」
歯牙にもかけないレンに藤堂が泣きつくと、彼女はやれやれといった風に肩をすくめた。
「…仕方ないですね。竹(上)で手を打ちます。」
「いや、梅(並)で!」
「いいでしょう。人数分お願いしますね。」
「ぅぐぅ…。わーかったよ、全員分な。その代わり、約束だかんな?」
藤堂が刀剣達を振り向くと、彼らは嬉しそうに顔を綻ばせていた。
「「「心得た!」」」
「ったく…。お前らいい根性してるぜ。」
藤堂はそう言って少し肩を落とした。