第84章 新たな拠点、新撰組
「薬研に言ってこんのすけを呼び出してもらいましょうよ。」
「そうだな。こんのすけが水先案内をしてくれたら安心だ。」
「あ、あの厚兄さんも誘っていいでしょうか?」
「あ、いいねぇ。薬研と厚なら上手い事聞き出してくれるかも。」
「それと蛍丸なんかどうよ?甘え上手なとこあるからいけるんじゃないか?」
と、まぁ…。
彼らは口々に言い合った。
「…お前ら何人で行くつもりなんだ?」
聞いていた大倶利伽羅は呆れ顔を向ける。
いくら行き来自由だとて、あくまで他所の家である。
そこに大挙して行くのはいかがなものか。
ましてや彼らは刀剣だ。すなわち、別の自分がいる場所には安易に足を踏み入れないのが、刀剣としての心得というもの。
「はっはっはっ。何やら楽しくなりそうだ。」
「笑ってないで止めろ。そして自制しろ。」
何で今ここにストッパーが誰もいないんだ、と大倶利伽羅は疲れたため息を溢す。
が、自由人揃いの面子では、大倶利伽羅の小言など効く筈もなく…。
「そうだ、伽羅坊も一緒に行こう!偶には外に出たいだろ?」
「いや、俺は…」
「そうだよ、偶には遊びに行こうぜ!」
「だから、行かな…」
「よーし!そうと決まれば薬研の所に行こう!」
鶴丸と太鼓鐘にいい笑顔で言い寄られ、反論もできないまま行動を共にする事に。
「何でこうなる…。」
「はっはっはっ。愉快、愉快。」
大倶利伽羅は暢気に笑う三日月を恨めしそうに見やった。