第84章 新たな拠点、新撰組
「俺も話してるとは思えんな。七海をよくは知らないが、近侍はいつも長谷部が務めているんだろう?ならば直に確かめに行った方が確実ではないか?」
三日月は茶を啜りながらのらりくらりと言う。
だが、これを聞いた大倶利伽羅は三日月を訝しげに見る。
「…お前、さっきから何で態々揉ませるようなことを言うんだ?」
それを受けて、三日月は驚いたように大倶利伽羅を見返した。
大倶利伽羅にはそれすらも態とらしく映る。
「揉ませるとは心外だな。俺は純粋にレンの無事を知りたいだけだぞ?」
「どうだかな。」
大倶利伽羅が尚ひた、と見続けると、三日月はにっこり笑う。
「本当さな。別に五稜郭を見物したいなどとは思っていない。」
からからと笑う三日月に、彼らはがっくりと肩を落とした。
「狙いはそれか。」
「三日月さんらしいと言えばらしいですけど…。」
鶴丸と鯰尾はやれやれと肩をすくめる。
「まぁ、待て。レンの状況を知りたいのも本心だ。だからどうにかして突撃出来ぬかと考えておるのだ。」
飄々と宣う三日月は、皆を見回す。
「どうだ?案はあるか?」
彼らはうーん、と思案する。
ただ、五稜郭突撃は早計だという思いの方が強い。
「まずは、ダメ元でも七海の本丸へ行って聞き込みしてからでも遅くはないんじゃないか?」
「そうですね。もしかしたら、って可能性も無きにしも非ずですし。」
「それでもダメだったら、突撃してもいいかなぁ。丁度、七海んとこの転移門だったら、渡りやすいし。」
鶴丸の言葉に鯰尾、太鼓鐘が賛同する。
レンの本丸は、主不在の為、転移門は一時的に停止させてあるのだ。神気の無駄な流出を防ぐ為である。
それにより、レンのチャクラ消費を少しでも減らそうという措置だ。