• テキストサイズ

君に届くまで

第83章 時間遡行軍、現る





「へぇ…。」

不意に声が聞こえて、レンはそちらの方を向いて驚いた。
そこにいたのは沖田総司だったのだ。
不敵に笑う彼に、レンは思わず渋い顔をする。

「…どこから見てました?」

「さぁ…、何処からだと思う?」

レンの問いに沖田はのらりくらりと返す。

―疲れてる時に…。

レンは内心舌打ちをする。

「君達は、アレを見てもあんまり驚かないんだね。いやに慣れてる感じだし。」

不敵に笑う沖田に、刀剣達の顔から血の気が引いていく。

「い、いや…。そんな事…ないって。…ね?」

加州は助けを求める様に大和守に話を振ると、彼は顔を引き攣らせながら口を開いた。

「そ、そう、だよ…そうそう。僕達だってすっごい驚いたし!ね?」

大和守が隣の燭台切に話を振ると、苦笑しながらも頷く。
そこはさすがの落ち着き様と言える。

「悪いけど僕達は何も答えられないんだ。ごめんね。」

嘘は言っていない。
けれども、それで引き下がる沖田でもない。

「そう…。」

レンの目には、沖田が態とらしく残念そうにしているように見えた。

「なら張り紙出しても大丈夫だよね?」

にっこり笑って言い放つ沖田に、刀剣達は動揺を露わにする。

「お上に讃えてもらわなきゃ。きっと報酬いっぱいもらえるよ?ついでにお褒めのお言葉も直に賜るかもね。」


「「「「え!!?」」」」


レンは、やっぱりか、とため息をついた。


直に賜るとなれば、お屋敷に直々にお呼び出しがかかるだろう。
そうなれば、歴史上の人物にわらわら出くわす事が容易に想像出来る。
直々のお声がけならば、人々の目にはレン達がさぞ印象深くなるだろう。
そう言った意味では刀剣達には衝撃的ではある。
あるが…。

「いやいやいや!」

「ダメダメダメ!」

「困ります!それは困るんです!」

涙目で沖田に言い募る乱、大和守、堀川に、レンは思わず頭を抱えた。
これでは沖田の言う”アレ”と深い関わりを持っていると言っている様なものである。
/ 1263ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp