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君に届くまで

第83章 時間遡行軍、現る



その瞬間、大太刀が最後の抵抗とばかりに暴れ出す。


「ガァァァァ!!!」


耳を劈く様な咆哮に、彼等の動きが一瞬怯んだ。
その間にも、刀へと伸びた大太刀の右上腕が再生を始める。

「取らせるな!!」

「「「…!!」」」

レンの声に応えたくとも、強張った体は瞬時に反応を返せない。
かと言って、刀から一番遠いレンでは間に合わない。

―取られる…!

レンは、取られた後の足止めをすべく印を組んだ。

その時、

「どりゃあぁぁぁ!!」

乱が大太刀の前に躍り出て、落ちた刀を腕ごと放り投げた。
利き腕が負傷しているのか、左手のみを使っている。

「光忠さん!!」

堀川が叫びながら、大太刀の土手っ腹に斬り込んだ。

「ありがとう、国広君!」

入れ替わる様に、燭台切が走り出す。

「これで終わりだよ!!」

振り下ろした燭台切の刃は、大太刀の刀に罅を入れる。

「「くたばれ!!」」

それに続いて、加州と大和守も刀を突き立てた。

バキンッ!

漸く、頑丈な刀が真っ二つに割れる。


「アガッ…!!グガァァァァ!!!」


一際大きい断末魔と共に大太刀が淡く光り、やがて光の粒子になって消滅した。


「「「「終わったぁ…。」」」」

思わず、その場に全員が座り込んだ。


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