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君に届くまで

第82章 新撰組




騒動が落ち着いて、新撰組とレン達刀剣は向かい合う形で座り直した。
今度はしっかり座布団が敷かれている。
先程よりは客人としての体を取っているが、向けられるぴりついた空気は尚健在である。

「改めて。初めまして、って言っていいのかな?」

燭台切が切り出すと、山南が柔和な笑みを浮かべる。

「そうですね。もう一度名乗るところから始めた方が良さそうですね。
では、端から行きましょうか。藤堂君。」

山南は端に目を向ける。

「俺か?」

やや気まずそうに全員を見回した後、少し照れ臭そうに頬を掻く。

「もう一回ってのも…まぁいいや。俺は藤堂平助だ。」

名乗ってから隣を見上げた。

「俺は永倉新八だ。」

「俺は原田だ。原田左之助。」

「私は山南敬助です。」

「…斎藤一。」

「沖田総司。」

「…土方。」

「…歳、ちゃんと名乗らんか。
すまんな。俺は近藤勇だ。」

新撰組側が全て名乗り、レンは隣の燭台切を見る。
すると、彼は心得たと言う様に目で頷いた。

刀剣達は本名は名乗れない。
よって、名を問われた時には、苗字に当たる名は名乗らない事に決めていた。

「レンです。」

「僕は光忠です。」

「僕は国広です。」

「清光でーす。」

「安定です。」

「乱だよ。」

一通り名乗ると、新撰組の面々は少し不思議そうな顔をする。
というのも…、

「何でお前ら苗字を名乗らねぇんだ?」

という事だ。
それを口にしたのは藤堂だった。

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