第82章 新撰組
少し見守っていると、レンがその人を蹴り飛ばし、斬り合いが止んだ。
だが、その人は深く構えて居合斬りの型を取る。
「…これ、不味くない?」
大和守の呟きに、皆で冷や汗を浮かべながら肯首する。
「どうしよう、止めていいかな…?」
「っていうか、今しかチャンスなくない?行こう…!」
加州と乱が言い合って動き出す。
だが、
ひゅん!!ガキィィン!!
風を切る音と共に、鍔迫り合いの様な音が響き渡る。
それと同時に、レンが人ではあり得ない身のこなしで、廊下に飛び乗った。
「「「はあぁぁぁ!!?」」」
案の定、見ていた藤堂達から驚きの声が上がる。
更にレンは刀剣達がいる方とは反対方向へと走り出した。
「っ!待て!」
追ってその人も走り出すが、その前にレンは近くの木を”駆け上がって”、あっという間に屋根の上へと姿を消してしまう。
「「「「「あ゛ぁ……。」」」」」
やってしまった、と刀剣達は揃って膝をついて項垂れた。