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君に届くまで

第82章 新撰組




藤堂に連れられて、とある一室に案内されると、そこには六人の侍が座って待ち構えていた。
奥側の正面に二人。両側にそれぞれ二人が配置されている。

「とりあえず、ここに座ってくれ。」

藤堂が指差す所は、入り口を入ってすぐの場所。
勿論、座布団の類は無し。
少なくとも歓迎されていない、という事が伺える。
藤堂は、入って右側の空いていた座布団に腰掛けた。

「まずは座れ。」

正面から声がかかる。
敵意と捉えても過言でない威圧だ。

「これこれ、歳。そんなに圧をかけてはいかん。この子はまだそうと決まったわけではなかろう?」

「だからってな、近藤さん。証拠がないからって、にこにこ笑って出迎えなんか出来ねぇだろ。」

それを聞いた右側の人が口を開く。

「ま、土方さんの場合は、にこにこ笑う事さえ難しいと思いますがね。」

「何か言ったか?総司。」

土方と呼ばれた男は、ぎろりと総司と呼ばれた男を睨むと、彼は面倒そうにそっぽを向く。

「いいえ〜、なーんにも。」

「てめぇ…、喧嘩売ってんか!?」

「まぁまぁ、落ち着け、歳。」

掴みかかりそうな勢いで体を浮かせた、土方を近藤と呼ばれた男が宥めている。
この男が土方か、とレンはこっそりと注視する。

「副長。ここはお怒りを鎮めてください。総司には俺からも言っておきますので。」

総司の隣に居る男が土方を宥め始めた。

「総司にかかると鬼の副長も威厳が型無しだな。」

「土方さんも分かってても乗っちまうからなぁ。」

「そう言えば、総司の奴また土方さんの詩集盗み出したんだって?」

藤堂を含めた右側の三人も話し出す。

「そうそう。まーたやりやがったんだよ。」

ーどこまで続くんだこのやりとり。

レンは思いながらも、刀を抜いてそっとその場に座る。
暫く待って話が進まない様なら勝手に帰ろう、と思いじっとしていると、廊下からこちらに近づく足音が聞こえてきた。
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