第82章 新撰組
「とりあえず、誠心誠意説明しに行きましょう。土方さんは無実の民を無碍に扱うようなお人ではないと思いますから。」
堀川は苦笑しながら皆を励ました。
「それでどうにかなる?」
「土方さんはともかく、沖田君って意外に喧嘩っ早いよ?」
加州と大和守は揃って堀川を見る。
「土方さんが纏めてるんですから、そう酷い事にはなりませんよ。寧ろ、その状況で、レンさんが術の類を使わないかが心配ですね。昨日も何か使ったのでしょう?」
堀川が問うと、大和守は気まず気にこっくりと頷いた。
「…そうか、ボク達が逆に人質になる事でレンの動きを抑える事が出来るかも?」
乱が起き上がって考えを述べる。
「僕達が行く意味はそちらの方が大きいでしょうね。」
堀川は少し笑って答える。
「でも、そこから出られると思うかい?」
燭台切は心配そうに問う。
「そこはもう、誠心誠意説明して訴えるしかありません。それこそ出たとこ勝負です。」
至って冷静な堀川を見て、加州と大和守は互いに顔を見合わせてから堀川を見る。
「随分冷静だね。」
加州の言葉に、大和守はうんうん、と頷く。
「僕は兼さんと同じ、土方さんの愛刀です。元主の考えは分かるつもりですよ。」
堀川はくすくす、と楽しそうに笑って言った。