• テキストサイズ

君に届くまで

第82章 新撰組




一方、宿では…。


やっとのことで、全員を集め終わった乱は、焦りから捲し立てる様に事情を説明する。

「それどういう事!?」

全てを聞いた加州が腰を浮かせた。

「ボクにも止めようがなかったんだ。レンに逃げる気がないんだもん、どうにも出来ないよ!」

「も〜!あんのバカ娘!!」

加州は苦悶の表情で頭を掻きむしる。

「藤堂さんのしつこさが一枚上手だったと思うしかないよ。遅かれ早かれここも突き止められてたかも。昨日みたいに八番隊全員で大挙してこられたらヤバかったかもよ?」

大和守は内心の焦りを抑えつつ、清光を宥める。

「問題はどうやってレンちゃんを助け出すか、だね。」

燭台切は難しい顔で考え込む。

「用が済んだら戻るからって言ってた。…けど、新撰組ってそんな簡単に逃げられるものなの?」

乱は不安気に燭台切と堀川を見る。

「難しいと思います。この時代では随一と謳われるほどには剣の腕は確かです。って事はフットワークが軽い筈です。簡単には逃してもらえないんじゃないかと思いますね。」

理路整然と立てられた堀川の推理に、一同は大きなため息をついて肩を落とした。

「僕、胃が痛くなってきたよ…。」

燭台切はちくちくと痛み出した鳩尾を摩る。

「どうしてこう…。」

「トラブルばっかり呼び込むのかな…。」

加州と大和守は揃って額を抑える。

「ボクもうくったくた…。」

乱は疲れ切ってゴロンと畳の上に寝転がった。
/ 1263ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp