第81章 幕末へ
加州、大和守が南側を回り、堀川、燭台切が西側の路地裏を中心に回り、乱、レンが北側を回る事になり、それぞれ散り散りに動き出す。
「さてと、行きますか…。どこから行く?」
二人は歩きながら話し出す。
「とりあえず、北側に行けるだけ行ってから端から聞き込みをしましょう。」
「りょーかい!」
京の店は、昨日とは打って変わり活気に溢れていた。
小間物屋、酒屋、呉服屋…。どれも頻繁に人が出入りしている。
その中で気になる人影があるかと問われると、皆無だ。
「…普通に、普通の町だね。」
「ですね。これといって手がかりらしい手がかりは見当たりません。」
二人は道ゆく人々を見ながら進んでいく。
「ここら辺で一度引き返す?」
乱がそう言って止まった辺りは、寺や神社が多く、店が少ない場所になっている。
「そうですね。今度は聞き込みしながら戻りましょう。」
二人は踵を返した。
「すみません、この辺りで変わった羽織を着た人を見ませんでしたか?」
二人は片っ端から聞いて回るも、
「さぁねぇ。見ぃひんかったで。」
「知らへんなぁ。」
「知らんがな。それより、ほら。これなんかどや?」
「知らんなぁ…。そないなけったいな着物着とる奴なんか見た事あらへんで?」
と、まぁ…。
人それぞれの反応だが、答えは皆同じだった。