第80章 五稜郭にて
「そういえば、光忠さんの着物姿って珍しいよね。」
加州は隣の燭台切に話を振る。
燭台切は、青紫の着物に濃色の袴を選んだ。
「そうだね。いつもジャージでいる事が殆どだしね。」
燭台切がそう答えると、彼の隣にいた堀川がひょこっと顔を出す。
「確かに新鮮ですよね。でも背が高いからよく似合います。カッコいいです。」
褒められた燭台切は少し照れくさそうに笑う。
「ありがとう、国広君も似合ってるよ。」
堀川は薄榛色の着物に萌葱色の袴を選んでいる。
彼は、少し自分の姿を見て嬉しそうに笑った。
「そういえば、乱ちゃんも珍しいよね。」
燭台切は、堀川の隣にいる乱に話を振る。
彼の場合は珍しいどころか、初めて見る姿ではないだろうか。
「そうだね…。レンが女装してくれればボクも女の子の着物着れたんだけどなぁ。」
乱は少し肩を落としてため息をつく。
乱は桜色の着物に柿色の袴を選んだ。
「あの感じじゃ難しいだろうね。絶対やらないって空気だったし。…ってあれ?」
言いながら大和守は隣を振り向くが、そこにレンの姿はない。
「あれ、ほんとだ。どこ行ったんだろ。」
「さっきまでいたよね。」
彼等は揃ってきょろきょろと探し始めると…。
「貴様ら!聞いているのか!」
それに気づいた長谷部が火を吹いた。