第80章 五稜郭にて
正午過ぎ…。
「いらっしゃい。どうぞ入って。」
七海に迎えられたその場所は、五稜郭の捜査班本部。
「お願いします。」
気負いなく入っていくレンに、加州達は気後れしながら彼女に続く。
「結局来ちゃったね…。」
「だね…。」
「腹括るしかないよ…。」
大和守、加州、燭台切は、ため息をつきながらひそひそと囁き合う。
あれから、再三に渡り刀剣達がレンの説得にあたるも聞き入れられる事はなく、右から左に流される始末。
鶴丸に至っては、あまりに暖簾に腕押しの彼女に痺れを切らし、強行作戦に打って出たが撃沈。数々の術の前になす術がなかった。
彼等は、幻術に嵌りふらふらとする鶴丸を思い出しては、不憫に思いながらも静かに合掌をした。