第80章 五稜郭にて
「出陣のメンバーも決めてきました。清光、安定、光忠、乱、堀川で行きます。」
「僕行かない!ボイコットする!」
大和守がレンの決定に歯向かう様に言い募るも、
「じゃあ、私一人で行ってきます。」
にっこり笑ってえげつない返答が返ってきてしまう。
本当にそれが出来てしまうだけに末恐ろしい。
「う、嘘だよ〜!行くよ!」
結局、承諾するより他はない。
「だいたい、人間が渡れるのか?」
御手杵が不可思議そうな顔で問う。
「許可書とバーコードチップなら貰いました。
あ、歌仙。これ入れるお守り袋みたいなの作ってくれませんか?」
御手杵に許可書を、歌仙に1cm程のサイコロの様なバーコードチップをそれぞれ渡す。
「…君って子は…。」
歌仙は胃を押さえながらがっくりと項垂れ、御手杵とその周りにいた者は、受け取った許可書に目を通す。
「今日中には出ますから、各自準備に取り掛かってください。」
「「「今日!!?」」」
刀剣達は、更に驚愕に包まれる。
「はい。こういうのはとっとと終わらせるに限りますから。」
どこかうきうきしながら言うレンに、刀剣達は呆れ返る。
「…まさかとは思うけど、ただ過去に行ってみたいから、なんて理由で承諾したのかい?」
次郎太刀はジト目でレンを見据えるが、レンは気に留めずにっこりと笑う。
「まさかまさか。ちゃんと任務として受けましたよ?七海さん直々の依頼ですし。
さて、各自支度をしてきてください。午後には五稜郭へ行きますよ。」
そう言ってすたすたと広間を出て行くレンを、彼等は唖然として見送った。