第80章 五稜郭にて
七海の話では、時の政府総出で出陣させ、解決に向かわせても悉く失敗してしまう。結果、加州ら四名が消えてしまう事態に陥っているのだ。
七海の本丸でも和泉守兼定が消えてしまっている。
本体である刀ごと忽然と姿を消したのだ。
その原因は幕末の任務失敗にある事は明白である。
更に運の悪い事に、時間軸が不安定となりつつあり、時渡りが難しくなってきている。
歴史改変が確定しつつあるの事が原因なのか、悉く任務を失敗する事が原因なのかは定かではない。
だが、益々任務遂行が難しくなっている事は間違いない。
「だからって!本丸の要であるレンが行ったら本末転倒でしょ!?」
「そうだよ!レンは大人しくしてろよ!」
乱と厚が若干顔色を青褪めさせて言い募るも、レンは頑として聞かない。
「出陣するなら、俺達で行くから。」
「レンは本丸で待ってて。」
加州と大和守は揃ってレンを説得するも、
「嫌です。待ちません。」
一刀両断される。
「「「レン〜!!!」」」
「だから嫌ですって。行くったら行くんです。決定です。」
レンは刀剣達の大合唱に耳を塞いでしれっと答えた。
「も〜!何でこうなっちゃうの!?」
「光忠も一緒にいたんなら止めてよ〜!」
加州は頭を掻きむしり、大和守は半泣きで燭台切に言い募る。
「…無茶言わないでよ…。」
皆での説得も難しいのに、燭台切一人で止められるはずもない。
燭台切は、がっくりと肩を落とした。