第80章 五稜郭にて
「…というわけで、私も出陣する事になりました。」
本丸に帰ってから、レンは事のあらましをざっと刀剣達に説明する。
「「「…はあああぁぁぁ!!!?」」」
緊急の呼び出しを受けていた事は知っている。
けれど、レンが危険な事に首を突っ込むとは聞いていない。
「いやいやいや!」
「え、ちょっと待って。え!?」
「うそ!冗談でしょ!?」
「何でレンも一緒に行くの!?」
鶴丸、乱、加州、大和守は、動揺をそのままに頭を抱えた。
他の面々も唖然としてレンを見るばかり。
事情を知っていた燭台切は青い顔で額を押さえる。
「何で、って言われても。今まで通り刀剣のみ出陣じゃ、結果が見えてるじゃないですか。今回の失敗は即ち死に繋がります。やるからには後がないわけですから…」
「だからこそだろ!?レンが出陣すべきじゃない!」
レンの言葉を遮り、鶴丸が掴みかかる様に肩を掴んで揺さぶった。
「後がないから私が行くんですって。」
レンは鶴丸の手を掴んで止める。
「俺も鶴の旦那の言う通りだと思う。”大将”が自ら行ったら駄目だろ。」
薬研が眼鏡をくぃっと上げながら、疲れた様に言う。
「私なら逃げ時を見誤る事はありませんし。成功率は上がると思います。」
「けど、今回は逃げても歴史を変えられちゃえば刀剣が消えちゃうんでしょ!?」
「逃げられないのに危険だよ!」
「けれど、待っていても解決しませんよ?解決できる人がいないんですから。そうなれば清光や安定は死んでしまうかもしれません。」