第80章 五稜郭にて
「もう、察しはついている通り、あなたにこの騒ぎの原因を突き止める手伝いをしてほしいの。協力してくれない?」
単刀直入に切り出された話題は、レン達が察する通り、原因究明における人員要請だった。
やっぱり、とレンと燭台切は心の中でごちた。
レンは、げんなり顔を隠しもせず小さくため息をつき、燭台切ははらはらとしながらもレンと七海の動向を伺う。
「…一応聞きますが、私に拒否権はあるんですか?」
七海の様子からして、断られる事など考えいない様な口振りだ。
レンは、聞くだけ無駄だと思いつつも一応聞いてみた。
「あるわよ。もちろん強制じゃないわ。ただ…。」
言葉を切った七海は、すぅっと目を据えた。
「今日の説明会の様子からして、手を挙げる人はいないでしょうね。そうなれば、私達にもう打つ手は無い上、歴史が改変されるのを指を咥えて見ているしか出来ないわ。
そうなったら、歴史からも本丸からも加州達は消えてなくなる。二度と会う事は叶わなくなるわ。」
それを聞いたレンは、益々げんなりしながら口を開く。
「…それ、言外に私が手を貸さないせいで、って言ってません?」
どうしても、断らせない様に釘を刺しにきたとしか思えない。
しかし、七海は可笑そうにころころ笑いながら、上品に手を口に添える。
「あらやだ、そう聞こえた?気のせいよ、気のせい。けれど、あなたが私のお願いを断るとは思っていないわよ?」
あくまで強気の七海に、レンはやれやれと言わんばかりにため息をついた。
七海には数々の恩があるのも確かだ。